勉強は苦しい?
理学療法士は国家資格を有する医療従事者
「理学療法士は国家資格を有する医療従事者であり、体系化した理学療法を提供する責務がある。そのベースとなるのが『エビデンス』である」
— 淺原 裕一郎@理学療法士 (@You1614) February 26, 2018
最近読んでる本に書かれていて、すごく共感できた。
マッサージで終始してるなら理学療法士なんていらない!#理学療法士 #スポーツ #陸上
だから、日々の勉強は疎かにできない
職人気質なところもあって、感覚を大切にすべきときはもちろんあると思う
でも、その前提にはエビデンスとか予後予測とか医学的知識は土台として絶対に必要
リハビリなんて24時間のうちのほんとわずか。その中で終わっていたら、最大の効果はきっと発揮できないんじゃないかな。それに理学療法士の仕事も理解してもらえないだろうし。
患者さんに質問されたときに答えられる
ドクターとディスカッションができる
看護師やコメディカルと互いの専門的立場から患者さんのことについて話ができる
できたら絶対に楽しい!やりがいができる!
なにより入院患者さんでも外来患者さんでも「治したい!」って強い想いを抱いてる
本当にそれ
— 淺原 裕一郎@理学療法士 (@You1614) April 11, 2018
有給を使って、お金を払ってでも『治したい』って想いで通院してる人がいる
涙する人もいる
機能面をクリアにしていくことは本当に難しいけど、ゴールと期間を提示して患者さんと一緒に進んでいくことは頑張れば誰でもできる
そこがなければ自己満#理学療法士 #スポーツ #リハビリ https://t.co/4CdqskNIym
だから、それに応えるだけの気持ちが必要。
勉強して、知識が蓄えられて、患者さんに還元して、ありがとうって言ってもらえて。
だからリハビリの勉強は大変だけど、楽しい。
勉強することが辛いのは、勉強という手段が目的化してしまっているからじゃないかな。
学生時代
目次
運動・解剖・生理から各疾患について学ぶ範囲は本当にたくさんありますよね。初めて聞く言葉や概念で頭がいっぱいになったことを今でも覚えてます。
勉強に関しては教員の方や先輩などから聞いてるとは思いますが、「運動・解剖・生理」は絶対です。学年が上がるにつれて、中枢や呼吸器など専門分野に突入すると思います。基盤となるこの3科目が分っていると、「なぜその現象が起こるのか」という点が理解しやすくなります。反対に言うと、土台がなければ表面的な勉強に終わってしまって、実習・臨床で役に立ちません。応用が効かなくなるからです。
だから、地味でも覚えるべきことは覚える!
記憶の忘却曲線
出典:http://www.nextglobaljungle.com
学ぶ量は本当に膨大!なので効率よく覚えていきたいところ!上の忘却曲線は有名ですが、「1日で74%も忘れてしまう」っていうのは学生にとっては致命的。しかも僕1年生当時26才でしたから、なんとかそこを補わないといけない
だから、ポイントポイントで常に復習をしてました。
①勉強をした日寝る前に
②次の日勉強を開始する前に
短期記憶を長期記憶へ
習い始めはテストに向けて覚えることでいっぱいいっぱい、結果として短期記憶に留まってしまうことが多いかと思います。だからテストが終わるとバッバラバー。
長期記憶は図に示すようにさらに①エピソード記憶と②意味記憶に分けられます。だから、どうせ覚えるなら「エピソードと意味」を勉強の手段として盛り込みました。
<エピソード記憶>
語呂合わせなんかまさにこれの典型ですよね
<意味記憶>
難しいところですけど、点で覚えた知識を線としてつなげて勉強していく。手段としてはマインドマップなんかが有名ですね。
ここまでくると、覚えることは作業で勉強になりません。「理解をする」ことが勉強になります。
知識をつなげていこうとすると、解剖学を勉強していたつもりが、机の上では生理学や運動学の教科書も同時に広げていました。
また、僕の知り合いの先生では「一点集中型勉強法が良い」って言ってましたね。つまり、膝が好きなら膝、足部に興味あるなら足部、将来肩を診ていきたいなら肩というように勉強したい身体部位を決めてとことん突き詰めていく勉強法。
例えば膝関節なら、どのような運動が起こるのか、それは解剖学的に何が寄与しているのか、可動域制限を引き起こしやすいものはなんで、生理学的にそれはどう説明できるかなど...
モチベーションが下がったとき
ただ、僕自身そうでしたが勉強してると今度はモチベーションが....そんなときは
①なぜ自分がこの道に進もうと思ったのか(きっかけ)
②将来どんな理学療法士でありたくて、今なにをすべきなのか逆算(ゴール設定とそこからの逆算)
③未来と現在のギャップを埋めるために、今習っていることが臨床とどうリンクしているのか
を常に意識してました。
前十字靭帯(ACL)損傷
目次
病態とメカニズム
スポーツ活動中の受傷が多く、70~80%はストップ動作やカッティング動作、着地動作など減速性の動作中(非接触型)に発生。アスリートを対象とした調査によると初発発生率は0.0006~0.03%とまれですが、再発(反対側も含む)となると約100倍もの高い数値になってしまいます。
再発の受傷機転も高い割合で非接触型損傷ですので、ACL損傷を起こす人は内的因子を保有している可能性が非常に高いと言えます。
受傷時の膝関節の肢位は内旋か外旋かなど議論があるところですが、ある研究では
着地時のACL損傷は着地後30~40msecまでに急激な外反と脛骨の大腿骨に対する内旋が生じ、その後緩やかに脛骨の外旋が起こるとされ、接地後極めて短時間で損傷している。一般的に主張されているknee-in toe-outの姿勢はACL損傷の結果、生じた姿勢である
としています。
<股関節>
接地から損傷までの間、屈曲・内旋位でほとんど動かない
とする報告があり、着地後に足部・股関節ともに固定された状態であると、人は床反力を下肢全体でうまく吸収できず、過度に膝関節に依存することとなる結果、様々な外傷リスクが増加。
股関節内・外旋の筋力比に不均衡があることも多く、
術後に股関節外旋筋を取り入れた結果、再断裂率(反対側も含む)が有意に低下した
という報告もあります。
<足部>
着地後に内側縦アーチ降下と膝関節外反には有意な正の関係
があり、股関節の内転も大きくなります。
<合併症>
MM・LM損傷が頻発。LMは受傷時肢位から横・水平断裂、MMは縦断裂として認められるケースが多い。ACL損傷によって脛骨は大腿骨に対して前方に偏位し、「膝が外れた感じがするときがある」という訴えのように、前方剪断力の増大によって、前後方向のスタビライザーとして働くMM(特に後角に)負担が加わりやすくなるためです。
オペ後リハビリのリスク管理
1. 再建靭帯の再構築
靭帯と異なった組織であるグラフトは術後に阻血状態となり力学的強度が脆弱に。その後に血管新生を得て靭帯に近い組織となるので、過渡期の無理なROMexはグラフトのゆるみを惹起し、関節の安定性を損なう危険性が潜んでます。
2. 骨孔部の癒合
骨孔部の癒合はBTBで2~3ヶ月、STGで3ヶ月。
①グラフトの生着は骨孔の深層から起こること
②屈曲時に関節面でグラフトがより動くこと
③半月板損傷も頻発すること
以上のことから伸展だけではなく、屈曲可動域にも注意を払う必要があるのかな。僕はオペ後4wは120°くらいを目標にしています。
3. 反対側も含む再断裂
再断裂が発生しやすい時期は再建側あるいは対側膝の受傷で異なります。理由としてはグラフトの成熟期が挙げられますが、再建側膝受傷は術後1年、対側膝受傷は受傷後2~3年間で多く発生する傾向。
4. 関節線維症(関節拘縮)
術後1番に獲得しなければならない機能は膝関節の完全伸展(HHD0横指)!制限の残存はパフォーマンス低下、キネマティクスの異常、膝前面痛、筋力改善の妨げとなるためです。
多くの病院では術後伸展制限・荷重制限をかけているところは多いと思いますが、Gold standardでは術後超早期からそれら制限はかけていない。長期的には両者に有意差はなく、短期的には良好な結果を示しており、早期競技復帰を可能にします。
メディカルリハからアスリハへの移行は術後約3ヶ月が目安。なのでメディカルリハ中の最大目標はFull ROM(正座・HHD0横指)・片脚起立30cm獲得だと思います。HHD0は弛緩性があっても4wでは獲得したいところ。
メディカルリハの内容は要求されるレベルがどの程度であっても、スケジュール・内容は基本的に一緒。
理学療法士を目指したきっかけ
僕は中・高と400・800mを専門として陸上競技をしてたんですね。
生活の中心はまさに「走ること」
高校進学もそれ中心で選びました
でも1年生の冬に故障して、病院に行っても原因が分らず、1分すらまともに走れない状態でした。
そんな状況が何ヶ月も続いて、モチベーションが保てずに退部しました。
ただ、大学・社会人と何年経ってもその頃の夢が出てくるんですよ。
グラウンドやトラックを走ろうとしても、地に足が着かず空回りしながらもがく夢。
「こんなに夢に出てくるなら、その道に進んで怪我に苦しんでる人の役に立とう!」
どえらい勇気がいりましたが、27才の年で専門学校に入学しました。
その学校では現在Global Conditioning代表をされている樋口先生と出会い、進むべき道を教えていただき今に至っています。
卒業間際にその先生に誓ったこと
「3年間とことん自分を追い込んで、成り上がる!」
ときに挫けそうなときはありますし、将来臨床経験3年になってもまだまだ学んでいくべきことはきっとあります。でも、
27才のときの自分・先生に誓った自分を裏切らないためにがんばっていきたい
周囲に反対された専門学校入学の道が間違ってなかったと証明したい
怪我で苦しんでる人に少しでも役立ちたい
そんな想いで日々を送ってます。
なにより無意味に過ごす3年より、夢に向かった3年は将来きっと自分の糧になると思うんですよね。
根性論的なところがあるかもしれませんが。意外とそういうの好きなんです。
ちなみに今では当時見ていた「もがきながら走る夢」は一切見なくなりました
骨盤骨折
骨盤骨折は交通事故など高エネルギー外傷で起こりやすく、多発性外傷であることが多い。例えば肋骨骨折・外傷性くも膜下出血・消化管損傷・神経損傷・尿路損傷とかがあるのかな。
一方で高齢化に伴い転倒など低エネルギーの外力であっても骨折を生じるケースが増加しているようです。
骨盤骨折は大きく
① 寛骨臼骨折
② 骨盤輪骨折
の2パターンに大別できます
パターン②骨盤輪骨折の分類では骨盤の後方要素に着目したTileの分類が多用され
A型(安定型):骨盤輪の完全な安定性を有する
B型(部分安定型):後方要素の損傷は認めるが骨盤輪として部分的に安定している
C型(不安定型):後方要素が完全に破綻し、骨盤輪の完全な不安定性を有する
に分けられます
さらにA~C型は脊柱〜下肢の荷重伝達経路上に骨折が認められるかどうかという観点からも考えることができます。
骨盤後方成分安定型・不安定型を比較した際に、安定型では33%に後方血管損傷がみられたのに対して、不安定型では67%あったとするものがあるようで、そういった意味でも後方成分を重視しているのでしょうか。
治療方針
安定型は保存、不安定性では手術療法が適用となります。
A型:保存療法が適応
B型:転位の大きいものや脚長差を大きく認める場合は手術適応
C型:手術適応
リハビリ
A型でベッド上安静の場合、発症後2週頃より部分荷重・歩行訓練を開始。ちなみに僕が経験した症例も安定型でドクターから2週免荷の指示でしたね。手術の場合6週は完全免荷・12週で全荷重という報告がありました。