痛みのいろは①
目次
術後リハビリをしていると、痛みの訴えをよく耳にする
でも、それをどう評価するのか、ドクターやコメディカルとチームとしてどう対応できるのか、リハビリの専門職としてなにができるのか、すごく悩んだ時期がありました。
痛みシリーズでは、痛みを基礎に立ち返って学んでみよう!
ポイントは
- 痛みは機能障害・能力低下・社会的不利すべてにかかわってしまう!
- 運動療法で痛みを軽減できる根拠を知って、リハビリを行う!
- 薬・病棟や家での生活状況・自律神経などリハビリ室の外を知る!
痛みとは
「実質的あるいは潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはそのような損傷を表す言葉を使って表現される不快な感覚・情動体験」
痛みはこのように定義されてる
ん〜、難しい
つまり、明らかな組織損傷がなくても過去の体験などから、痛みを表現することもあるということ。
大切なことは痛みはそれ自体に加えて、患者さんにとって社会的な不利益ももたらしちゃうこと。
- 仕事ができない
- 部活動に参加できない
- 家事・育児ができない
いろんなことがある。
こんな状態が続けば、不活動・抑うつ・社会生活への適応障害になりかねない。
結局、痛みは機能面・能力面・社会的不利すべてに関係してくる!
痛みの恐怖-回避モデルってやつですね。
言葉の定義
参考書や文献を読んでると、感覚・知覚・認知って言葉がよく目に付く。
専門家である以上、この言葉の意味は確実に知っておこう。
①感覚
- 刺激によって生体内の受容器が興奮し、脳の関連領野に情報が伝達され、それが意識にのぼった体験
- それがどのような性質で何であるかの情報処理プロセスは含まない
②知覚
- 刺激の性質を把握して、感覚を意味付けすること
③認知
- いくつかの知覚を組み合わせ、それが「何であるか」、「どこにあるのか」を判断すること
- この作業には感覚・知覚に加えて、記憶・言語・判断といった機能の付与・統合も必要
痛みのメカニズム
痛みの種類
急性痛
▶警告信号
▶逃避反射(=屈曲反射)
慢性痛
▶Not 警告信号
▶原因がなくなったあとの痛みで、除痛が鉄則!
痛みの伝達経路
①受容器で各刺激を感知
②受容体で各刺激を電気的信号に変換
③脊髄後角へ伝わった後に、信号を神経伝達物質に変換
④痛みを感じる大脳皮質「外側脊髄視床路」や感情を司る大脳辺縁系「内側脊髄視床路」へ
痛みの受容器は当然自由神経終末
自由神経終末はさらに2つに分けるれます
- 高閾値機械受容器
▶Aδ線維(有髄線維)で素早く大脳へ
▶侵害性機械刺激に対してのみ反応
▶1次痛(鋭くて・部位が明確)
- ポリモーダル受容器
▶C線維(無髄線維)
▶多種類の刺激に対して反応
▶2次痛(鈍い・部位が不明瞭)
この線維が通る道には名前がありますよ
- 外側脊髄視床路
▶直接、体性感覚野へ
▶1次痛の道
- 内側脊髄視床路
▶大脳辺縁系へ
▶2次痛の道
▶ストレスなど感情や間脳視床下部に影響して、自律神経症状を起こす原因になる
大事なことは、外側・内側の経路は相互に関係していること
最終的には帯状回や前頭前野に情報が送られます
特に!
前頭前野は広汎性侵害抑制調節・下行性疼痛制御系に関わっていて、これが慢性痛に関係してるんですね!
リハビリ(運動療法)が痛みに対応できる理由はこの2つから説明できます。
学校で習う基本的なことを振り返ったシリーズ①はこれで終わり
覚えておきたいことは
- 痛みの定義
- 感覚・知覚・認知の言葉は意味が違うこと
- 痛みを伝える道は2つあること
次回は脳について主に勉強していこうかな