拘縮とは
目次
関節可動域制限とは
【拘縮:可逆的】
「皮膚や骨格筋、腱、靭帯、関節包などの関節周囲軟部組織の器質的変化に由来した関節可動域制限」
※筋収縮由来は含めませんが、関節可動域制限は実際のところ器質的変化と筋収縮(スパズムや痙縮など)の影響を加味して考えていきます
【強直:非可逆的】
「関節構成体自体が原因で生じた関節可動域制限」
拘縮の分類(病変部位)
●皮膚性拘縮
●筋性拘縮
●靭帯性拘縮
●腱性拘縮
●関節性(関節包)拘縮
拘縮の分類(原因)
●結合組織性拘縮
結合組織によって構成される皮膚・皮下組織・筋膜・靭帯・腱・関節包が原因で起こる拘縮
●筋線維性拘縮
筋長短縮や筋原線維の配列乱れなど、筋線維自体の器質的変化
拘縮の病態とメカニズム
責任病巣
ラット動物実験では拘縮の進行は不動開始後1ヶ月で著しいことが分かっています。ではその責任病巣はどこになるのか?
それは関節によって差はあるものの
- 1ヶ月以内の責任病巣の中心は骨格筋の関与が強い
- 1ヶ月以上では皮膚・骨格筋以外の要素(=関節包)の関与が強い
ということが分ります。
皮膚由来の拘縮
不動後、1週以内に皮下組織内の脂肪組織に萎縮・消失を認め、これを置換するように線維性結合組織が増加していきます
骨格筋の変化由来の拘縮〜筋長(解剖学的)変化〜
不動後1週間で約11%短縮しますが、その後に著明な変化はありません!ですので、拘縮進行に短縮が直接的に影響を与えてるとは考えづらい
骨格筋の変化由来の拘縮〜伸張性(機能的)変化〜
張力は3週目から有意に高値となり、10週目以降はプラトーになります。伸張性の低下は不動期間と相関しているので、拘縮の進行とも関連が強いと言えます。
それでは筋の伸張性の変化をより詳しく調べようとすれば
①筋線維の滑走不全によるもの
②筋膜の変化によるもの
どちらが主たる原因かとなります。
これに関しては筋フィラメント間の滑走についての報告がまだ十分ではなく、現時点では筋性拘縮の病態の主原因は筋膜と結論づけても問題ないようです。
筋膜の変化(コラーゲン含有量の変化)
ラット動物実験では不動1~2週でコラーゲン含有量が増加しています。この病的な量的変化が線維化(伸張性低下)につながるわけですね。
加えて、タイプ1(筋上膜や筋周膜など硬度が要求される組織て含有量が高い)が筋内膜で不動4週まで有意に増加している点は見過ごせない点です。
筋膜の変化(配列変化)
コラーゲン線維は本来筋線維に対して縦走し、十分な可動性があります。しかし、不動によって横走線維の割合が増加してしまいます。
関節包の変化由来の拘縮
関節包=内層の滑膜+外層の線維膜ですよね。滑膜は伸張性に富み、線維膜は伸張性に乏しいという特徴があります。
ですので、不動に伴い問題となるのは滑膜!
不動に伴うメカニカルストレスの減少によって
- 隣接する滑膜同士の癒着
- 関節軟骨と滑膜の癒着
などが起こります
参考文献
- 作者: 沖田実
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