3年で駆け上がる新米理学療法士

整形外科中心の急性期総合病院で働いています。一般的な整形外科疾患やスポーツ障害・外傷のリハビリ経験、文献や個人的に勉強したことなどを発信していくブログです。

膝蓋大腿関節障害と定義

目次

膝蓋大腿関節障害とは

PFPSや膝前面痛(AKPS)などリハビリの中で広く使われてますけど、それぞれの明確な定義が分らず、漠然と使っていたので調べてみました。


調べてみるとおもしろい!
1906年〜:膝蓋軟骨の変性・膝蓋軟骨軟化症がPFPSとされ、原因疾患の結果として出現する症状を指していた

1970年〜:膝蓋骨の病理学的徴候がなくてもPFPSが発生することが報告され、膝蓋骨のアライメント不良やトラッキングエラー、滑膜ヒダのインピンジメントが原因として示唆された

1982年〜:関節アライメントが正常でもPFPSが起こりうると報告され、それ以降は過負荷が原因と考えられてきた。過負荷は一度の高負荷や反復性の負荷、関節圧の増加や血流の減少など。

この歴史からすると「確定診断のできる疾患を外した上で、膝周囲の疼痛やスクワットのように膝蓋大腿関節圧が増加する動作によって疼痛が増強する状態」をPFPSと考えてよさそうです。


ただ、近年の資料等でも
「膝蓋骨軟化症・滑膜ヒダ障害・膝蓋骨亜脱臼など膝蓋骨と大腿骨が接している部分の膝関節障害の総称」
「関節軟骨障害(骨軟骨骨折、離断整骨軟骨炎、膝蓋大腿関節症)、膝蓋大腿関節不適合による障害(反復性膝蓋骨脱臼、excessive lateral pressure syndrome:ELPS)、滑膜ヒダ・膝蓋下脂肪体炎」
とするものもあって、以前のようなより広義にPFPSを捉える傾向もあります。

膝前面痛

膝前部痛(AKPS)というPFPSに類似した言葉。これに関しては
「膝蓋腱炎・膝蓋骨不安定症・分裂膝蓋骨など、広く認められている障害を除いた症候群」とするものがあり、脂肪体の腫脹や線維化を指すことが多い。

AKPSとPFPSの変遷を踏まえると、AKPSは狭義のPFPSに近い意味みたいですね。


膝関節疾患のリハビリテーションの科学的基礎 (Sports Physical Therapy Seminar Series)

膝関節疾患のリハビリテーションの科学的基礎 (Sports Physical Therapy Seminar Series)

  • 作者: 福林徹,金岡恒治,蒲田和芳,玉置龍也,永野康治,鈴川仁人,加賀谷善教,吉田昌弘,渡邊裕之,小林匠
  • 出版社/メーカー: ナップ
  • 発売日: 2016/09/10
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る